Nosemantik Max

子供の都合悪いことスルー力は見習いたい (NM)

まずはやり残しの仕事から

今日からやっぱりバタバタ.
中国で開催されたTypologyに関する国際シンポジウムに参加してきた.これは2015年にも開催されており,その際も興味があったのだが,そのときはちょうどエス氏が生まれたばかりでもあり,国外への出張ができなくて,今回満を持しして参加したわけである.
困ったことに,Call for papers以外はほとんどの連絡が中国語で来るのが難儀した.また,アクセプトの連絡も非常に格式のある中国語(相方談)で書かれており,gooogle翻訳を通しただけではアクセプトされたのかどうかわからない始末.その後も,第一回プログラムで,自身の発表が抜けていたりとか,発表順が前々日くらいに変更されるなど,振り回された.
学会自体は,海外からは超大物のtypology研究者(ただし皆中国語に堪能)を招待しており,正直,typologyと冠した学会・研究会で,日本で同じくらいの規模で開催できるかと問われると,日本でこんなに集まらないなと思う.おおよそ200名,中国各地から多くの研究者(知り合いにによると,中国げんご学の超大物から若手院生まで)が会した学会となった.ただし,あまりに皆の発表スロットがタイト(6から7会場同時進行で,一人の持ち時間が15分から20分,招待研究者の講演も30分だけ)であった.ただし,日本でtypologyというと,日本語以外の言語研究者や対照研究者がその中心となるだろうが,中国の場合,中国国内の少数言語や方言,さらには中国周辺のいわゆるシナ=チベット系の言語の研究も,comparativeな考察の場合,typologyの範疇に入るようだ.そりゃそうであろう.
とはいえ,日本では理論研究者が多く,最近はコーパス系や実験系,さらには談話系などの研究者も増えてきており,言語記述やそのベースとなる形態や統語の分析を主とする研究者は少なくなっている気がする(少なくとも,その種の人が就けるポストというのは減少しているとは思うし,その種の研究ができる大学院も限定されていると思う).今回のシンポを見た限りでは,中国ではその種の研究が盛んで,大家も若手をしっかり指導し,若手の発表のレベルも高いと感じた(国際シンポなので英語で発表してほしかった,いや,世界で話者数が一番多い中国語は,国際語なわけか).とはいえ,シンポの後,中国の某研究大学の先生と話したのだが,ポストの問題は中国でももはや厳しい状況のようだ.
僕が興味ある言語(日本語やフィン=ウゴル語,そしてニューギニア系言語)は名詞及び動詞形態論が複雑で,それが楽しいのだが,今回に限っては,みんなが例に出す言語の例が中国語であるため,非常に孤立的なというか,形態論的にすっきりしているのが特徴的で楽しかった.次回もまた参加したいのだが,それまでに自身も中国語で発表できる(または質疑応答だけでも中国語でできる)レベルにしたいものである.